テープ

スコッチテープを最初に松方種さんに見せてもらったときの感動はいまだにはっきりと覚えている。

これはおそらく送られてきた荷物のなかに入っていたのではなく、西町スクールを手伝っていた軍属の家族の人たちがベースで購人したものを学校で使っていたのであろう。

まだあまりテープそのものが普及していないときで、身近のテープ状のものといえば絆創膏ぐらいしかなかった。

それが、スコッチテープによって初めて破れた本のページを修理できるようになったのである。

透明で貯った上から文字が見えることは、それまでは全く考えられないことであった。

日曜学校でアメリカ人の先生の聖書が大切にスコッチテープで修理されていたのを印象深く覚えている。

本の破れたページの修理の救い主であった。少したってから日本製が市場に出始めたが、比べものにならないほど品質が悪く、時間がたつと変色してしまい使いものにならなかった。

ディスペンサーにも使いよくデザインのいいものがなかった。

ちゃちなブリキ細工のようなカッターでは役にたたず、取り外してしまい、あげくのはてにテープのしっぽを見失いイライラした経験を持っている人が多いと思うのだが、いまだにこれは改善されていない。

スコッチテープを作っている3M社は、社名のかしらのアルファベット文字をとっているもので、もともとはミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing co.)、つまり、ミネソタ鉱業製造株式会社だ。
本業はサンドペーパーの製造だった。

いまでも業界最高の品質のサンドペーパーを作っている。自動車のボディーの塗装に使われていたテープを見たセールスマンのアィデアから生まれてきたのが、粘着テープなのである。

そのテープの材質をセロファンにしたものが一世を風靡するセロファンテープだ。
九二九年の大恐慌のさなかだった。

ものを大切に使わなければならなかったため、カーテンや洋服の修理にも使われてブームになった。

3Mがその製品をスコッチと名づけたのはスコットランド系の会社だからではなく、その昔からスコットランド人は倹約家で知られていたので、モノを修理して大切に使うイメーシに合ったからだという。

スコッチ・ブランドのコーポレートデザインは最近グリーンが目につくが、西町スクールの教員室の机の上のは赤色がめだっていた。

競合商品が増えたいまでも、アメリカでは普通名詞のセロファンテープ(cellophane tape)、もしくは透明テープ(transparent tape)より、3M社のブランドネームの「スコッチテープ」といったほうが分かりやすい。

それほどまでにアメリカの日常生活の一部になってしまっている。

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