西町スクールのバザーのためにアメリ力から送られてきた大きな段ボール箱はまさに宝石箱のようだった。

その中にル・ペイジの、容器の形がとてもユニークで、使い方を知らなくても自然に手がつかんでしまう使いやすそうな糊があった。

いつでもメカニカルなものが僕の興味をそそるのだが、この形にもとても感心した。

腰磁のように薄い黄金色の透明な糊は、それまで使い慣れていたものと比べてずっと洗練されていた。

そのころ僕はグリーンのガラス瓶に人った白い半透明の、柔らかいくずもちのような「ヤマト糊」しか知らなかった。

ヤマト糊はどちらかといえば自分でメリケン粉を煮て作ったものとあまり変わりばえがせず、違いといえばかびにくく、腐らないことぐらいであった。

それに比べてル・ペイジの糊は透明で、持ちやすいようにデザインされたガラスのビンに人っていた。

とりわけ気にいったのは糊を手を汚さずに紙につけられるようになっている機構であった。

赤茶色したゴムのアプリケーターが瓶の先についていて、先端が斜めに切ってあり、はさみまたはナイフでその中心に穴をあけて、瓶をさかさにして紙に糊をこすりつけるのである。

手に糊をつけずに使えるこの合理的な考え方に小学生の僕は感心してしまった。

しかし、糊そのものは少し水っぽくて、しばらく手で押えておかないとうまくつかないので、僕のようなせっかちにはこの点ではヤマト糊に軍配をあげざるをえなかった。


アメリカへ留学して、多くの文房具に接した|糊(エルマーズ)


糊(エルマーズ)

西町スクールで見たル・ペイジの糊はアメリカに移ってから眼にふれることがなかった。 まだボンド糊がいまのように普及する前に日本を出てしまったので、僕が最初にあのタイプの糊を見たのはロスアンジェルスでだった。

エルマーズ・グルーだった。そもそもこのタイプの糊を市場に紹介したのはアメリカの酪農製品の有名メーカーのボーデン社だった。

白い糊の入った容器を見ると、そのロゴの黄色とブルーの色と、 マスコツトとでもいうのか牛が首にリボンをした顔が酪農製品にも共通して付いていたので、白い糊と合わせて原料はミルクなのかななどと勝手に考えながら、とにかくよく付くので感心していた。

あまりにもこのメーカーの製品が市場を制覇したので、ブランド名エルマーズが普通名詞化した製品の代表の一つになっている。

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右はエルマーズの紙用の糊。ゴムのアプリケータに穴を開けて、手を汚さずに糊がつけられる機構は、かってのル・ペイジの糊と同じである。左はアンティークの刷毛で、ガラスのボトルに入れて使ったもの。上はヤマト糊。日本の糊を代表する品質とかたち。根強い人気をもつ。

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