三穴バインダー

三穴バインダー

いろいろと棚に並べられたノート、その他の紙製品を見ていたら、ほとんどといってもいいほどの生徒がごくあたりまえに三穴バインダーと三穴の用紙、ノート状で三穴でミシンの入ったものを買っていくのを見た。

それで、とにかく僕もできるだけ友だちと同じように、三穴バインダーを使ってみることにした。バインダーの金具が、全くネジを使わないでできているのに興味を引かれた。

しかもどこにスプリングが入っているのか、どのタイプのスプリングなのかも分からず、その作り方に感心した。その造りの荒いことにも驚いたが、金属が硬いのにもアメリカを感じた。

八月中旬からのBTS(Back to Schoolの略)の季節、アメリカの文房具業界の一年を通して最も忙しい時期になると、街のスーパーマーケットまでが特に紙製品を中心に特売を始める。

僕も経済観念を働かして三穴バインダー用の紙を手に入れたことがあるが、特売だけのことはあって価格の面では魅力的だ。大学の生協と同じ値段で二倍近い量の紙が手に入るのだから多少紙の質が悪くても我慢しなくてはということになるのだが、僕がスーパーマーケツトで文房具を買うのはこれが最初で最後だった。

とにかく紙の質が悪すぎるのである。その後業界のことが分かってみるとスーパーマーケツトのルートで動く文房具は文房具店、生協とは違ったジャンルの文房具であることを知った。

すなわち品質より価格を優先した製品を中心としている。三穴用の紙をフィラー(Filler)という。充填物とでも訳すのか、バインダーに対しての名称なのであろう。


一度に十五センチ近い量の紙がポリ袋に入ったものを買うのでなんとなくリッチな気持ちになるのだが、なにせあの紙質ではさもありなんの感じであった。

最近日本で見るアメリカの紙製品はコストの点でこの量販店のブランドのものが出回っているのが目につく。

クリップボードから


そのフィラーの紙だが、鉛筆の先に力が入ると少しへこむような感じのエスパルトパルプの紙と違って、表面もラフで、罫線も使い慣れていた大学ノートに比べると広く、字を書いてみてももの足りなかった。

あまりにもスペースがあって、丁度小さな国産車でカリフォルニアのフリーウエーを走る感じとでも言おうか。しかし使い慣れるまでに時間はかからなかった。

むしろ僕のへたな字も広いスペースをもらって以前よりもさまになってきたような気もしたが、これは少し思いちがいだったかもしれない。

この当時はまだ罫線幅の詳しいことは知らなかったのだが、正確には三種類の罫線幅があることを、その後にアメリカの文房具業界で仕事をするようになって知った。

僅かの違いだが正確には、カレッジマージンは、9/32インチ(7・14皿)、それに比べて幅の狭い、ナローマージンは1/4インチ(6・35皿)、最も幅の広いのは、ワイドマージンで、11/32インチ(8・73m)。オフィスでポピュラーなタイプは中間のカレッジマージンである。


いよいよバインダーを使い始めたのだが、人影のまばらな図書館で、フランス人のガールフレンドとロスアンジェルスの本屋事情とみんなの図書館の利用の仕方について文句を言いながら、周りで勉強している学生の三穴バインダーの使い方を見ていると、バインダーに紙を入れたままで書いている学生はあまりいず、バインダーは持ち歩くためのものであるらしいことが分かってきた。

その後友人に聞いてみると、家に帰ると課目別のバインダーにノートをとったフィラーをファイルしていると言う。

なるほどキャンパスを見回してみるとさしずめ日本でならバンドで本を十字に縛り持つかわりに、厚めの、人によっては十センチもあるバインダーを持っていてこれにすべてを入れているのである。

そのための種々のツールが、スチューデントストアにはまとまって置いてあった。

昔西町スクールで見た三穴バインダー用にできている穴のあいたプラスチックの定規にも再会した。


筆箱の代わりにビニールでできたジッパーのついた袋があり、仕切り用のガイドには見出しがマイラーのラミネートで補強してある親切な造りのものがある。

いろいろと使い込んでみると、単に大学ノートと違うタイプのノートというだけではなく、情報管理をシステマチックに行なうためらしいことに気がついた。

すなわち時系列に従ってすべての情報を一冊のノートに記録し転記するか、何冊もノートを持ち授業を受けるか、あるいは三穴バインダーを使うかの違いである。

三穴バインダーを使う方法は時系列にノートをとったフィラーを課目別に構成する、俗に言うカード式の情報整理と考え方が同じなのである。

そのうちにフィラーにもかなり種類があることが分かってきた。

化学の実験用のもの、工学系のものに特殊なものがかなりあった。

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